どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

「RPGツクールXP」サンプルゲーム

RPGツクール』といえば,その名の通り,プログラムを知らなくても,簡単にゲームを作成することが出来るお手軽ツールである.その最新作が『RPGツクールXP』だ.お手軽ツールとはいえ,ruby*1を組み込むことができるようになり,複雑なことも出来るようだ.


さて,そんな『RPGツクールXP』を用いて作成されたゲーム,として5つのゲームが同梱されている.今回はこの同梱された作品に少しずつコメントしたい.(順序は実際にやった順)


■To near

最低限の素材を用いて作られたゲーム.個人的には(5つの中で)一番共感も出来るし,嫌いなトーンでもない.とはいえ,後半の話の展開がやや強引かな.ちょっとこちらがついていけなかった.そこさえなければ,結構お勧めなゲームになるんだけどなあ.大切なのは凝った技巧よりもアイデアや設定なのかもしれない.


■ししむら

RPGツクール』でアクションゲームも作れます,という一例.ストーリーは一番短い.もっとゲームとしてはやり込みができれば良かったのに,という気がしてならない.例えば,序盤でレベルが最大になってしまうところとかだ.ストーリーについてはコメントなし,ということで.


■KNight-Blade Howling of Kerberos

この話は前作があるらしいのだが,やっていない.というわけでわからないところがたくさんある.しかも「近未来×軍隊」ものは得意ジャンルではないので,ノーコメントということで.やっぱり主人公には成長して欲しいですね.こんなコメントしか出来なくて申し訳ないです.


■白い絆

これも関連作品があるらしいが,『女神の涙』以外は全く知らない.豊かな奥行きのあるゲームと思われるが,無意味な情報をばら撒きすぎているような気がしてならない.細かく設定されている設定が生かされていない.


マニュアルに「他作は知らなくとも全く問題のない構成」とあるが,これが嘘であることを信じたい.


また,RPGツクールの基本システムから大きく変更を加えているのだが,「防御力」という概念はぜひ入れて欲しかった.


■Alestian Story

クリアに20時間を越える大作である.システムもそれなりにきちんと出来ているし,おまけ要素もある.ゲームとしてのやり込み度も高いだろう.


説明がない割にはやたら個性が強い.最低限,なぜ彼が「影」なのかについては語るべきだろう.しかも,TRPGとテレビゲームのRPGとの区別ができていない.まるでTRPGのリプレイをトレースしているだけで奥行きがない.脚本はあるがストーリーはない.オンライン向きのゲームだ.


■総評

良くも悪くもサンプルゲーム.サンプルゲームとしては,これくらいのほうがいいのかもしれません.結構辛口に書いてしまいましたが,参考になる点はたくさんあります.これから作られるであろうゲームはこれらを超えていかないといけない.そういう目標ができた.

*1:という言語があるらしい.二川項はあまりよく知らない.