使える弁証法
この「どっとこぶろぐ」のテーマは,「ウラの裏はオモテなコラム」*1.
例えば,前にこんなことを書いていた.
「キリスト教原理主義と平和思想の共通点*2」
要は,一見同じに見えないこの両者は実は似ている,という趣旨のもの.
やや文脈が違うが,不評の作品に多い特徴のひとつとして,
こんな点を挙げていた*4.
敵のデザインがあまりにも幼いもの(単純な二項対立をあおるもの)
最近でも,こんなことをコメントしている*5.
最近,作品コメントするときに重要視しているポイントのひとつが,相手の論理をきちんと描いているかどうか,である.…理由は分からないけど,「彼らだってやっている」この感覚が無性にほしいのだ.
ずらずらと昔のコメントを持ち出したのは別でもない.
この本で取り上げられている弁証法の考え方に近いものがあるような気がするからだ.
例えば,先のキリスト教原理主義と平和思想の例なら,
長々と書いたが,弁証法的に言えば,
「対立」するものは,互いに似てくる
(148ページから引用)
ということである.
僕が未熟でこの本の趣旨が十分に理解できていないかもしれないが,
少なくとも,この弁証法という考え方は好きだ.
無意識にこの解決法を求めているからなのかもしれない.
もっといえば,「止揚」という言葉はすごく良い言葉だと思う.
この本を読むまで知らなかった言葉*6なのだが,その意味は
互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくこと
(164〜165ページから引用)
である.
最後にちょっとだけ補足.
この本の中心は,弁証法をビジネスにどう生かすかということに
ついて書かれている.
ここで書かれていることはなるほどその通りで,
「どっとこう」の主要コンテンツだった「どっとこう総見*7」の
議題の主なネタであったRPGでも実証できる.
僕の心の中でぼんやりしていた何ががつながった気がして,嬉しくなった.
善か悪か,辞めるか辞めないのか,上流なのか下流なのか,
そういう対立を仰ぐ議論が好きな方には,この本はあり得ないかもしれない.
だけど,現実的な答えを出すことを求めるのなら,
きっと参考になる点が多いのではないかと思う.
- 作者: 田坂広志
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*1:2006年2月5日現在.単なる「表(おもて)なコラム」でないことに注目していただきたい.
*2:id:futagawakou:20030321 .正確には,このコメントは「どっとこぶろぐ」時代のものではなく,それより以前の「ああ言えば項言う」時代のものである
*3:この点については, id:futagawakou:20050206 でも似たようなことをコメントしている.もっとも,最近では id:futagawakou:20051017 や id:futagawakou:20051017 のように,今回の議題と逸れている部分も出てきている.
*4:id:futagawakou:20050413#p2
*5:id:futagawakou:20051221
*6:と思いきや,このページを読んだ2日後に読んだとある本(ISBN:4088738500,59ページ)でも,この言葉が登場していた.しかも,わざわざ脚注がついていた.去年の12月にコメントした作品ではあるが,先のコメントと文脈は多少違うと思われる.
*7:http://llllll.s18.xrea.com/x/column/index.html .最近更新がご無沙汰で恐縮です.