魔神英雄伝ワタルメモリアルブック
今日は5月5日.今日誕生の有名人もたくさんいるが,あえて挙げたいのはこの人.
戦部ワタル.1978年5月5日生まれ.今日でもう28歳
知る人ぞ知る『魔神英雄伝ワタル(以下『ワタル』)』の主人公.
28歳のワタル,どんな生活を送っているのかな?
『ワタル』は,ごく稀ながら,このブログでもコメントしている作品であり,
長い目で見れば,「二川項」の種々の作品や好みに影響を与えている*1重要な作品でもある.
そんな『ワタル』がメモリアルブックを出したというので,早速読んでみた.
も〜,この本の中身は大いに不満あり.
誤字脱字があったり,文章が途中で終わってしまっているのはご愛嬌.
学術書並みの2500円という価格も,今の時期では仕方ないかもしれない.
はっきりと断定しないでほのめかすような書き方のも気になるけど,それもまだ許そう.
だけど,『ワタル3』『ワタル4』などのラジオ(CD)シリーズを忘れてはいけないだろう*2.
アニメ史的に見ても,『ワタル3』はアニメーション的概念をラジオに持ち込んで,
メディアミックス(ラジメーション/アニラジ*3)として
成功させた初期の作品.
『ワタル3』本編など,信じられないくらい数のCDもリリースしている.
実は,「ワタル」シリーズの中で,僕が一番印象に残っているシーンは,
『ワタル3 虎王伝説』の中のシーンで,創界山から現実の世界に戻ったワタルが
みんなに創界山の話をするんだけど,(ほとんど)誰も信じてくれなくて,
現実世界では,創界山のことを誰にも話さなくなってしまった,ということを
トモダチの虎王に告白する,というところだ*4.
僕は昔住んでいたところから転校することになった.
前いた地域のクラスで結構盛り上がっていた作品のひとつが再放送のワタルだった.
関東圏に転校後,再放送のワタルなんかやっているはずもなく,
トモダチもゼロからのスタートだった.
そして,関東圏の転校先の小学校ではいじめられていた.
前の学校のほうが明らかに楽しかった.
転校先(今)の家では,自分の部屋をもらった.部屋にTVはなかったが,ラジオがあった.
ラジオは文化放送だった.日曜日の夜聞いていたら,
スピーカーから聞き覚えのある声が聞こえてきた.―そう,ワタルの声だ.
このときにやっていたのは,まさにこの『ワタル3 虎王伝説』だった.
そう,転校してきた先こそ,現実の世界であり,
虎王こそは昔のトモダチだ.この場面と見事に重なる.
だから一番印象に残っているのだろう.
さてここで本題に.
このときのワタルの経験はどういう類のものなのだろうか,
本当に誰も創界山での経験を共有できないのだろうか,
逆に,現実世界なら誰とでも共有できているのだろうか?
そして,自分がワタルに投影した思いは,独自のものであって,
ワタル世界と直接の関係はない.
こういうところが「どっとこう総見」*5につながっていったのだろう.
巻末のインタビューは,自分を作家として読むと,ちょっと考えさせられる.
目的,商売,夢,対象…この絡みの方程式を解くのは難しい.
ところで『ワタル』は,最近ガチャポンで復活していたりもしていて,
目立ってはいないが,動きがなくもない.
とはいうものの,ワタルのフレームは良くも悪くも1980年代.
『超ワタル』があまり良い評価を受けていないのは,
ワタルそのものが変わったからなのかもしれないけど,
それ以上に時代が変わった*6ということが大きかったからではないだろうか.
ワタル自体はRPGのシステムを参考にしているけれど,
もうそのシステム自体が古くなってしまっている.
活かせる部分もあるはずだが,そのままでは現代っぽくない.
ノスタルジックに走ってもいいけど,たぶんそれは本質的にワタルとは相容れないと思う.
2年後には『ワタル』生誕20周年.「超」からも10年.期待しています*7.
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↓あ,途中で言っていたのはこれ.
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*1:意外なところでは『かいけつゾロリ』にも及んでいる.前にも書いたっけ.
*2:本当は,ゲームとかにも触れてほしかったんだけどね.はい,欲張りです.
*3:『ワタル』をはじめビクター系は「ラジメーション」を用いていたが,一般的には「アニラジ」だろう.
*4:この後,虎王の名台詞(答え)があるのだが,それは聞いて(読んで)のお楽しみ,ということにしよう.
*5:大学の卒論にもね.「どっとこう総見」のURL→ http://llllll.s18.xrea.com/x/column/index.html
*6:『超ワタル』は,時代的にポスト『エヴァンゲリオン』だし,バブルもはじけて不景気にもなった
*7:ところで,今回の番組改編の一番の印象は,「元気な少年」の正統派冒険成長物語が増えたことだろう.しかも,主人公像が比較的良く似ている.ビー玉なのか,化け物なのか,クモなのか…の違いでしかない.