実験心理学が教える 人を動かすテクノロジ
ゲームから何かを得ようとする場合の一番の問題点は,
間違いなく時間がかかることだ.
比較的短い24時間でクリアできるRPGをプレイする間に,
3時間のやや長めの映画を8本も見ることができる.
だから,どっとこうでは,昨日*1も書いたとおり,
1回の視聴時間が比較的短くて済むアニメ作品を取り上げている.
それで,あれこれ示唆を得ることは,結構ある.
例えば,アニメ作品に限らず,最近読んだ本でも
(つまり複数の情報源で),こぞって早起きを推奨している*2.
でも,早起きできないのだ.
と,前置きが長くなってしまったが,この本は,例えば,
この試みがなぜうまく行かないのか,について語ってくれている.
いや,僕が,ゲームとプレイヤーの関係に注目して書いている,
「どっとこう総見」が無意味になるくらい,優れたことが書かれている.
僕にとってはまさに教科書のような本.
脚注のURLが現存しているかどうかチェックしているのは
非常に親切で良いのだけれど,
文献で日本語訳があるものは,日本語訳を紹介してくれれば
もっと良かったと思う.
日本語訳の問題はいろいろあるかもしれないにしても.
ちょっと話は戻って,冒頭の話の答え.
ビデオテープでは行動をリハーサルすることができないので、実生活でその行動を実行できるかどうか自信が持てないようである。つまり、対話的な体験が受動的な体験よりも自己効力感を高めるのだ。*3
なぜ,他のメディアではなく,ゲームに惹かれたのか.
「どっとこう総見」のそもそも論を思い出す1文だ.
ところで,左のグラフは体重と体脂肪率を表している.
お分かりのとおり,僕にはダイエットが必要だ.
そんなことを思いながら読んでいて,気になった例があった.
その名も「バーチャル軍曹」.
まあ,対話型ビリーズブートキャンプといったところだろうか.
ビリーズブートキャンプ自体,軍隊式とか,
背景で運動している人がいるとか,ある程度の想定ではあるけれど,
ビリーさんが声をかけてくれるとか,5000円キャッシュバックするとか,
ダイエットに挫折しないようにあれこれ工夫されているのがわかる.
これらの工夫は,本文に「人を動かす」要素として書かれているものだ.
その意味で,ビリーズブートキャンプ*4でダイエットに
成功した人がどのくらい出るのかというのには非常に興味がある.
僕はというと,もし,これで日本国民がげっそり痩せた暁には
ぜひ,やってみたいと思う.*5.
DVDを見てダイエットに成功するにしても,
ゲームから何か学ぶにしても,何かに影響されていることになる.
ということは,悪い影響を受けてしまうことも十分に考えられる.
そもそも,何かに影響されること自体,問題があるのかもしれない.
今後の世界のリテラシーとして,「どっとこう総見」に興味がない方も
この本を読むことをぜひお勧めします.
お勧め度:★★★★★
- 作者: B.J.フォッグ,高良理,安藤知華
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2005/11/17
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*1:id:futagawakou:20070818
*2:この例はあまり良くない.この問題の場合,たぶんゲームで早起きを推奨されても上手く起きられないだろう.なぜなら,日常生活を送るために一定の睡眠時間が必要なことを考慮すれば,早寝をしないといけないからだ.早起きというよりも早寝をする工夫が必要なのかもしれない.そこを説得する方法はなにかあるはず(今はなくても,きっと出てくるはずだ)だが,それは知らない.(だから起きられない)
*3:p110より引用
*4:厳密には,この本で取り上げられているテクノロジは使われていないだろう.だが,無関係でもないだろう.
*5:こういう考え方(社交的学習の原理,p260)についても,この本では触れられている