アイシールド21の秘密
この本は,確かに「最速」の本であることには間違いないだろう.
ただし,「秘密」を期待して読まないほうが良いだろう.
どちらかというと,作品のメッセージというよりは,
表層に出てくるも枝葉部分へのツッコミと補足説明が中心.
研究論文というよりは参考書に近い感じと言えばわかりやすいか.
ツッコミも,十分でないところが残念.
例えば,主人公「小早川瀬那」の「瀬那」がF1レーサーから取っている,という
解説は至極納得なのだが,是非苗字の小「早」川といういかにもなところにも
一言ほしかった*1.
「栗田良寛*2」の体格は幕内力士並みという解説でも,
両方を経験した「若乃花」について触れてほしかったなあ.
いい意味でも悪い意味でも.なんかちゃんこ屋のイメージしかないんだけど….
作品世界は何年か,という問いに対しても,
やや疑問系で2003年かもしれない…と言っていたが,
雪光の誕生日が2月29日,つまり,うるう年であることを考慮すれば,
自ずと答えは狭まるはず.
1年生たちの生まれは1988年,1992年,1996年のいずれかだと思われる.*3
個人的にイチ押しなのは1992年(=舞台は2007年).理由は申年だから.
他にも,なぜ「もてなさそうな」(…「商品化が難しそうな」と置き換えてもいいかもしれない)
キャラクターばかり登場するのか,とか知りたかったなあ*4.
まあ,このあたりは言うべきだった,というよりも,
個人的に言ってほしかった,というところが多々あるので,
気にせず流してください.はい.
ちなみに本の中で疑問を呈されていた泥門高校合格発表*5の真相が
単行本19巻に掲載されている.
一応予想は当たっていたことは付け加えておいた方がいいだろう.
日頃思っていたことに対して,「うんうん,そうだよね」と同意する.
これがこの本のいい使い方だと思う.
- 作者: アイシールド21研究会
- 出版社/メーカー: データハウス
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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*1:まあ,これを言ってしまえば,生後の経験よりも遺伝的なものを想像してしまうので,避けたのかもしれない.他の登場人物の名前も適当ながら考えているのでこの手の突っ込みはキリがない.
*2:でもひとつだけ.先日,NHK教育の「美の壷」という番組で「良寛の書」が取り上げられていたのを見た.ポイントの3つ目は「弱さの強さ」…お家柄も含めてどうですか?( http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20060505.html )
*3:改めて,言おう.若いなあ〜
*4:え,最後に恋愛シーンがあるからそれまで秘密だって!
*5:まあ,キャラクターの「位置エネルギー(できる人ができるのは当たり前.できない人ができるようになるから「話」になる.「プロジェクトX」の十八番の設定.)」は増えるのでそれを狙ったのだと思われるけど,高校の学力の問題には触れない(あるいは平均的にする)方がトータルとしては良かったのではないかと思うのですが,いかがでしょうか.このキャラクターの顔ぶれでは.実際,どんな進学校にも「馬鹿」な奴はいる(王城高校にはいるか…)もんなので,「馬鹿」=「偏差値が低い」ではないし,「偏差値が低い」学校にも「(人生を生きるという観点で)賢い」人もたくさんいるはずだ.