どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

「日本」チーム あれから一年

去年の今頃,『「日本」チーム』としてこのコーナーで取り上げた.

『日本チーム』
http://d.hatena.ne.jp/futagawakou/20020620

それから一年経った.このコラムはどうだったのだろう.読んでいない人のために簡単に振り返ると,日本人が一丸になって応援している「日本」チームってどういうチームなのか,ということが僕の問題意識だった.日本人だけで構成されているわけではないし,日本にいる人で構成されているわけでもない.「日本」ってどういうことだろう?ということだった.

この問題意識を抱いているのは僕だけだったと思いきや,ワールドカップのスポンサーでもある朝日新聞はもっと大胆な事をしていたことがわかった.(私がこの記事を知ったのはメールマガジンクライン孝子の日記』6月5日号であることを付け加えておく)

プロパガンダとしての中田代表引退報道』(文/西村幸祐
http://www.fantasista-net.com/2002club/news/200306/20030602_ws2327_2.html
この論文は,この後,北朝鮮の話題が出てきたり,メディアリテラシーの問題につながっていきます.

クライン孝子の日記』
http://www.takakoklein.de/melma/melma.htm

ワールドカップに「国」で縛られている限り,中田は引退するという記事についてである.中田自身はそう言っていないらしい(私は記事を見ていないし,ましてや本人に会っていないのでわからない)ので,あとは朝日新聞が記事を捏造したかどうかが問題になっている.どうして朝日新聞がそこまでしたかったかというと,「「国の名誉という鎧を着せられた国対抗の代表戦は」楽しくないサッカーであり、「自分を表現する場」ではない」(論文からの引用)ということが言いたかったらしい.

私が「日本」ってなんだろうと考えている間に,「もう,そんなものは必要ないんだよ」という答が出されたようなものだ.私がもし朝日新聞に聞ける機会があるとすれば,「では,ワールドカップのあるべき姿」とは何か?である.中田に引退してほしいという記事ではない以上,何らかの答があるはずだ.野球でいうところの「オールスター」のようなものなのだろうか.そこまで風呂敷を広げたのなら,その答を私は知りたい.

あと一つ知りたいのは,「国の名誉」があると,なぜ「自分」を「表現」できないのかということである.中田はサッカーをどうプレイしようとしているのだろう.最高のプレイをすることがそれがひいては「国の名誉」につながるのではないかというのが私の考えだ.別に小泉首相の言うとおりに動いても「名誉」になるわけがない.

私はそれだけではなく,サッカーで「日本」の「名誉」が決まるという事でさえ,尊大なだと思っている.だって「日本」チームのどこが「日本」なのだろうか.朝日新聞が思っているほど,「国の名誉」が「日本」チームにあるとは思えない.もしあるとしたら,日本国民が幻想を見ているのではないだろうか.朝日新聞がチームに「日本」とつくことがお嫌いなら話は別であるが.


難しく書いてしまったが,はっきり言ってしまえば,「国の名誉」があろうがなかろうが,外国から日本人選手を呼び寄せたり,あるいは選手や監督そのものを呼び寄せて構成している「日本」チームってちょっと変じゃない?結局日本って何なの?っていうことだ.誰か教えてください.