プロフェッショナル広報戦略
先の衆議院の総選挙で大勝した自民党の陰の主役,
コミュニケーション戦略チームのリーダーである
世耕議員が書いた戦略的広報についての本です.
大勝した自民党が例に取られていて,
その時,自分もどう動いたのかも考えられる*1ので
素材としてもわかりやすい.
奥行きはそこまで深くないけれど,さすがこの道のプロ,説得力がある.
僕は比較的このコミュニケーション戦略チームに近い仕事をしていることもあって,
参考になる点が多かったです*2.
さて先の総選挙では,このコミ戦ではなく別の議論が盛り上がっています.
言わずもがな,ライブドアの一件です.
ちなみに,この本は堀江氏については何も触れられていない.*3.
ホリエモンと自民党の関係について.
竹中氏や武部氏に騙されたと思っている人は,正直言って
メディアリテラシーが足りないだけのような気が.
だって,政府の言っていること,全部信じているの?
そういう人に限って,マスコミの批判機能も素直に受け入れて,
政府を信用しなかったりする.(例えば,年金とか)
結局それって,八つ当たりなんじゃないの?
まあそうだとしても,この問題に対しての,自民党の対応に今ひとつキレがない.
こんなコミュニケーション戦略チームがいるにもかかわらず.
その理由はこのチーム云々の問題ではないみたい.
その答えを本文から.
広報というのは、悪いものを良いものにすることはできないし、黒を白く見せることもできない。やはり基本的にコアになるメッセージの中身が重要なのである。
(40ページから引用)
さらにはこんなことも.
スキャンダルに巻き込まれる企業はある時期、非常に評判が良く業績も好調。世間のスタンダードよりはるかにに上をいっている.そこで社員や会社が「ウチはコレで大丈夫」と慢心してしまう。
遅れに気づいたときには一大スキャンダルになる
(164ページより引用)
ところで,この本の最大の衝撃は,戦略広報論もさることながら,
実は「おわりに」でした.
「やりたい仕事ができないからとふて腐れている部下」には大きな仕事を任せられません。それでさらに「使えないヤツ」と思われ、ますます腐ります。改革のチャンスなど、めぐってくるはずがないのです。
(181ページより引用)
ここを読んだときに,会社での自分の行動がふっと浮かんでしまった.
こういう成功事例を読むと、
その場で成功事例の表面的な現象をつい追いたくなってしまう。
この本なら、いきなりコミュニケーション戦略チームのリーダーに
なった想定をしてしまう。
でも,それは間違っている.
成功本のスタート以前の,そこに至るまでの過程を意識しないといけない.
ただ偶然にスターやヒーローの座が落ちてくるわけではない.
改革の準備は怠らずに、普段の仕事も手を抜かず、しかし、改革実現のチャンスがきたときは一気呵成に。
(181ページより引用)
そういうことです.
- 作者: 世耕弘成
- 出版社/メーカー: ゴマブックス
- 発売日: 2005/12/20
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (51件) を見る