グランディア エクストリーム

リアルの先にあるものは何か？

グランディア エクストリーム
（2001年／スクウェア・エニックス（ゲームアーツ）／PS2）
評価：★★★☆☆☆（C：暇ならおすすめ）

このゲームをクリア（セカンドエンディング）するのには200時間以上かかった．月日にすれば約半年．暇がないと言っている割にはかなり時間を割いている．この長さはどうなのだろうと思ったが，反対にいえば，半年費やせたゲームだともいえる．

主人公中心のゲーム

このゲームは，主人公達をどう表現しようかということに，気をつけているのがわか
る．一番象徴的なのは，ファーストエンディング後の主人公達やロッカの村の人達を，
会話によって明らかにしようとしているところだろう．こちらから話さないと先に進
まないところがゲームらしい．各主人公のキャラクターもはっきりしている．

ただ，はっきりしているのはよいが，それがうまく表現されているかどうかというと，
そうではない．特にエヴァンの考えがいまいちわかりづらい．クロイツとの関係も然
りである．理解できれば，かなりアツイ話なだけに，この点は悔やまれる．エヴァン
がおいしいところを持って行き過るところに原因があるのかもしれない．

リアルだから気になるあれこれ

このゲームが，3Dの思想を生かして作られたというのはわかる．だからこそ気になる
こともある．一番気になったのは，戦闘中のキャラクターの移動だ．特定の敵に向か
って攻撃しようとしたときに，その間を別のキャラクターによって遮られると，攻撃
しようとしたキャラクターは，遮ったキャラクターについていってしまって，走力が
尽きてしまい，攻撃できなくなってしまうのだ．プログラム処理の都合で攻撃が1タ
ーン無駄になってしまうのは，1ターン1ターンが重要な戦闘においては大問題だ．

別にこのゲームに限ったことではないし，すでに書いたことかもしれないが，3Dのキ
ャラクターの呼吸表現が大げさすぎる．書くべきものと書かなくてもいいものを定義
できるゲームにおいて，呼吸のために体が揺れることに，どれだけの意味を見出すこ
とができるのだろうか．ある部分的なリアルさを追求してしまったがために，全体の
リアリティ感が失われてしまったような気がしてならない．

あと，ぜひとも付け加えておきたいのが自動生成のダンジョンについてだ．行く度に
違うダンジョンになるのは面白い．だから地下100階，とかいうにわかに信じがたい
設定が可能になっている．とはいえ，トラップが毒ガスだけというのはなんともいた
だけない．単純だし，動きを止めないといけないからウザイ．ダンジョンにはもっと
「仕掛け」がほしいところだ．100回以上（実質300回程度）もトラップが毒ガスだけ
のダンジョンをクリアしないといけないのだ．さすがにこれには飽きてしまった．

最後にもう一つだけ．ミニゲームでコンサートがある．これはひどい．つまるところ，
音ゲーなのだが，タイミングが非常に計りづらい．背景に流れている音楽とも微妙に
合っていないし，プログラム処理の関係で，タイミングがずれてしまうのだ．しかも，
演奏ではなく，この音ゲーの結果によって観客が感動するようになっているのだ．ボ
タンを押すタイミングが前で踊っているキャロのタイミングだとしたら，演奏ではな
く，キャロの動きで感動するという，よりおかしい状況になってしまう．失敗と言わ
ざるを得ない．

その先にあるものは…

何か悪いところばかりを書いてしまったような気もするが，面白いゲームだし，制作
者達の想いも伝わるし，ゲームらしさを考えている，思想のあるゲームだと思う．3D
の処理については，今後より高いハードやもっと優れたプログラム言語の登場でおい
おい解決されるだろう．今は過渡期だ．

デフォルメの世界からリアルの世界に踏み出したゲーム．その先にあるのは何か．そ
の答を探しに200時間かけてみるというのも，効率はよくないが，無駄にはならない
だろう．時間があればの話だが，ネットゲームをやらない普通のプレイヤーには，残
念ながらその時間が一番ないというのを，制作者達に理解してほしいと考えているの
は，僕だけではないはずだ．

＜評価詳細＞
ストーリー：★★★☆☆☆　（C：暇ならおすすめ）
　システム：★★★☆☆☆　（C：暇ならおすすめ）
　　　音楽：★★★☆☆☆　（C：暇ならおすすめ）
　　　私見：★★★☆☆☆　（C：暇ならおすすめ）

時間があり，なおかつ膨大なシステムの中からアツイ想いを見つけられるのであれば，
間違いなくおすすめ．音楽は割と好きなのだが，サントラを買おうとは思わなかった
のでこの評価．たぶん，ゲーム中に十二分聞いたから満足したからではないかと…．