どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

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昨日*1と同じく演劇集団キャラメルボックスのTV放送より.
人気投票で1位になった作品らしい.
他の作品を見ていないから,なぜ1位になったのかは
正直分からないけれど,1位に値するのはわかる.


昨日の「サンタクロースが歌ってくれた」と違い,
最後がすごく上手くまとまる,ということは残念ながらない.
だからこそ,心に残るモノがあった.


話としてはもややわかりにくいのではないかと思う.
まとまらないから,自分で考えないといけない.
そこの過程にこそ魅力があるような気がする.
その例というか,ヒントはとても秀逸だ.
今日という日をどう過ごしていくのかについて.


お勧め度:★★★★☆

*1:id:futagawakou:20070814#p2

史上最強の弟子ケンイチ

さらに,そこをテーマとして持ってきた作品もある.
史上最強の弟子ケンイチ』だ*1


最初は,個人的な嗜好をつかれまれながらも,
なんか変な作品だと思っていたのだが,
彼の名前の漢字が「兼」一であると分かったときに,
この作品の「信念」がわかったような気がした.


ケンイチ君の家にある大量の本とか,
敵に対する対処のあり方とか*2
見ていてなかなか興味深い.


お勧め度:★★★★☆
※2007年8月15日現在

*1:もちろん,格闘技もスポーツなんだけど

*2:まあ,そもそも陰陽のマークからしてそういう意味なのだから,今さら不思議がることはないのかもしれないけれど

二項対立

よく,僕は作品を評価するときに,
二項対立の罠に陥っているかどうかをを厳しく見ている.
実はここで語ることが多かったファンタジー系の作品は,
構造的に二項対立をあおりやすいジャンルであるような気がした.


対立のあるファンタジー系の多くは世界を描いている.
現実の対立関係を見ても,対立を越えるのは難しい*1
世界の場合は,「正義」という答を出さなければならない場合が多い.
どちら側も,いかに自分が正しいか,という議論ばかりをしている.
そうだからこそ,二項対立を越えてほしいと願っている.


その一方で,その罠に陥りにくい作品ジャンルもある.
スポーツだ.試合や競技で対立するのは当たり前.
その対立に正義の概念を前提にする必要はない.
だからこそ,自然に両方の立場を描きやすいのではないだろうか*2

*1:これが簡単だったら,世界はとっくに平和になっているだろう

*2:残念ながら,試合を正義のある世界の話に巻き込んでしまうもったいない話もある.

サンタクロースが歌ってくれた

溜め込んでました第一号.
演劇集団キャラメルボックスの作品ですが,
去年の冬にMXテレビでやっていたのを録画して今さらながら見てみた.


実は演劇をTVで見る,という経験はあまりしたことがない.
そのせいでとても埋めがたい距離感を受けた.
これは,観客と舞台の距離がとても近い証拠だろう.


確かに,その距離感をさっ引いても,十分に楽しい.
話の流れというか雰囲気がすごく自然なのだ.
指向しているものに向かっているのだけど,
それでいて今までの感覚も忘れていない*1


クリスマスにはもってこいの作品だと思う.
この作品を観たのは…夏だけど.


お勧め度:★★★★☆

*1:演劇に限らず,序盤と終盤で雰囲気が分裂している作品,言い方を変えると,終盤の雰囲気が前半の雰囲気を全てかき消してしまう作品は残念ながら少なくない

かいけつゾロリ たべるぜ!大ぐいせんしゅけん


かいけつゾロリ」のテレビ放送終了後初の新作.
勢いが無くなってしまったのではないかと心配になってしまったが,
それは杞憂.相変わらずの魅力で,面白い.安心した.


まあ,過去の作品の紹介がたくさんあったり,
大人の事情があったり,小冊子が宣伝だったりするんだけど,
そのあたりも何でもありのゾロリだから,許せてしまうというか,
むしろそれをやってしまうところがゾロリらしいし,そこが魅力でもある.


とは言うものの,いろんなところに配慮しているのもわかる.
その配慮がまた面白かったりする.たとえば,次回作の予告.
「ダイエットのこうかにはこじんさがあります」って書いてある.


次回作は『かいけつゾロリ やせるぜ!ダイエット大さくせん』なんだけど,
きっとダイエットの参考になはならないんだろうなあ*1
もちろん,ゾロリたちがビリーズ・ブータキャンプとか
やるのかと思うと,それだけで楽しみなんだけどね.


最後に,前にもコメントした『テレビニュースの社会学*2』の中で,
ダイエット特集についての記述があったのを引用して*3閉めることにする.

平日・昼は規範的な身体や食生活を提示し、週末・夜は享楽主義にのっとった過剰や身体や食生活を提示するメディア言説のサイクルが、禁欲であることが求められつつ、消費することも同時に求められる…(中略)…(このように矛盾する言説を)交互に見なければならないというように、オーディエンスのまなざしの文法・方法が統制されていることに注目する必要がある。


原先生のまなざしも単に流行を追っているだけなのかもしれないけれど,
なかなか興味深いものがあるような気がする.


お勧め度:★★★★☆


*1:TV版の最終回付近で,ゾロリたちはすでに太って痩せるという経験をしている

*2:id:futagawakou:20061125

*3:pp96-97から引用.()内は私が補足しました

仕事は演出力 あなたの「魅力」を引き出す38のヒント

私事だけど*1,最近,とある方にやる気を大幅にそぐような事を言われた.
本人もそれが嫌みだと分かって言っているのだから,
何ともたちが悪いったらありゃしない.


僕は個人的に突っ込まれるのは嫌いじゃない.
だけど,それがこちらをけなすことによって,
本人の自尊心を高めるのに利用されたとこちらが
感じたから頭に来たのだろう.


さて,この本を読んだのはそんな気分だったある日.
この本は傷ついた僕の心を癒してくれた.
特に1章・2章あたりは特に.
書かれていた事であっても,言われているような気がする.


話の内容は,著者のマックス桐島さんが出逢った
ハリウッドの人々の魅力についてである.
残念なのは,僕はハリウッドの俳優をほとんど知らないかと.
知らなくても十分に良いんだけど,
ハリウッド通だったらもっと面白かっただろうに.


さて,この本のタイトルについてちょっと補足を.
「演出」とあるが,これはないものを作り出す「偽装」ではない.
あるものをどう魅力的に見せるかの「見せ方」の問題である.
偽装については一切触れられていない.


そして,「仕事は」である.これは実に惜しい.
もちろん,中ではハリウッドという仕事の場の話が書かれているのは,
間違いないんだけど,仕事だけにとどまることはないはずだ.


人間関係でちょっと疲れたり,自分の行動を直したい時に,
読み返してみたい.そんな一冊.


お勧め度:★★★★☆

仕事は演出力 あなたの「魅力」を引き出す38のヒント

仕事は演出力 あなたの「魅力」を引き出す38のヒント

*1:ええ,いつもです