キリスト教原理主義と平和思想の共通点

連日のイラク関連（正確には，アメリカ関連になってしまいましたね．）で言論の自由が保障されているはずの日本で戦争賛成なんていう意見がゼロではないのにかき消されているかのように平和は最高，戦争は最悪のような連日の報道で私は最近嫌気がさしている．小泉内閣発足時に国民の支持が８割を越えていた時に少数派を盛んに取り上げていたのとはずいぶん違っていますね．国家総動員法が発動するとこうなんだろうなあ，って思っちゃいました．（もちろん，賛成に傾いている報道やメディアもあることは知っていますよ．）

で，それを見ていて，私は意見を持てないでいた．最近長崎の原爆資料館に行ったこともあって，戦争は良くない，避けたいという想いを持っている．だけど，なんか報道を見ていて，素直に反戦できない自分がいる．それはなぜだろう，そんな事を毎日否応なく接するメディアを見ながら考えていた．それがどうしてなのか，ぼんやりではあるがわかってきた気がする．

さて，この戦争の裏にはさまざまなことが指摘されている．石油利権や，新保守派の思惑といったものもあるが，キリスト教原理主義も大きな原因と見られている．サンデープロジェクトなどを見る限り，ブッシュ大統領自体も原理主義者であるらしい．ここでさてさてである．対するイラクではなく，非イスラム圏で戦争反対を唱える平和の声とキリスト教原理主義には共通点がある，といったら驚くだろうか．これはアルカイダやイスラム原理主義，ユダヤ教原理主義にも同じようにいえることでもある．

どれも排他的である．おそらく上に上げたもののうち，平和の声については説明が必要だし，このことについて私は書きたいと思っている．ＳＭＡＰの歌で「ナンバーワン」と「オンリーワン」のくだりで反戦歌だと捉えられている．誰の命も大切にしよう，罪のない人の命を守ろうと訴えているのにもかかわらず，どうして排他的なのだろう．

実はその点こそが排他的なのである．人間の命が一番大切なのだと，誰が決めたのだろうか．もちろん，私も命が一番大切であると思っている．それは私がそういう風に生きてきているからであって，全人類に共有できてはいない．だから戦争が起こっている．何か至上命題のようなものを掲げてしまったその時点において，排他的となる．中には，人間の命よりも大切なものがある人がいる．民族だったり，宗教だったりする．あるいは他のものであるかもしれない．言い方が悪いけど，そういう人たちの人権は平和によって踏みにじられることになる．おそらくそれでも平和思想の持ち主なら，平和の方がいいはずである．それはイスラム教を信じている人にキリスト教に無理やりに改宗させるのと似ているのではないだろうか．

物事には良い点と悪い点が必ずあるはずである．だとしたら，戦争の良い点・悪い点，平和思想の良い点・悪い点があるはずである．戦争の良い点はブッシュ大統領が盛んに言っているし，戦争の悪い点や平和の素晴らしい点もよく言われている．では，平和の悪い点とは何なのだろう．平和活動をしている人はその事をわかっているのだろうか．もし知っていたら私に教えてほしい．お願いします．私が見る限り，そういう話は聞かない．この点は宗教とよく似ているのではないだろうか．この意味でも平和思想を広げていこうというのは，キリスト教原理主義となんら変わりがない．

ここで間違えないでほしいと思うけど，平和思想がいけないとか，そういう事を言っているのではない．反対に「その場の雰囲気で」がすべてにおいてよいというわけでももちろんない．ただ，平和を求める，それはある種キリストの復活やジハードと同じ次元であり，平和思想を受け入れる方は平和を押し付けられ，何かを失わないといけない，そのことを考えないといけない．グローバルスタンダードはアメリカンスタンダードだなんていっている人はなおさら考えないといけない．

イラク国民は，戦争終了後イラクが負けた場合，アメリカからアメリカ流の民主主義を「押し付け」られることになり，平和も押し付けられる．幸か不幸か私達は平和が一番と教えられてきた．その通りだと思う．でもそうでない人もいる．その人達にとっては押し付けられる．たまたま先進世界の多くにそういう思想が広がっているだけである．

きっと僕はキリスト教原理主義に似た平和思想の押し付けがましさに嫌気をさしてしまったのだと思う．こういうときに，疑う必要のない宗教というバックボーンや何かアイデンティティがあればそれに物を言わせて行動できるのに，と思う．そう，他の人に宗教や思想を押し付けるようにね．