おはよう,どっとこぶろぐ
おはようございます。
どっとこぶろぐ再開です。
ブログを休止してから早7年半。
明けない夜はありません。
細く長く続けていきたいと思ってますので,
これからも引き続きよろしくお願いします。
おやすみ,どっとこぶろぐ
「どっとこぶろぐ」を読んでいただきありがとうございます.
突然ではありますが,2003年から続いてまいりました
この「どっとこぶろぐ」の更新を休止することにしました.
最近の「どっとこぶろぐ」は,はっきり言ってしまえば,
自分のためだけに書いているような気がしてならないのです.
少なくとも,あなたに向かって書いていない.
これを読んであなたにとって何か役に立つとは正直,思えない.
自分のためと言いながらも,自分にしか分からないような
極端なネタを出すこともできず,非常に中途半端な印象を抱いてしまう*1.
だったら,いっそのこと,公開しない方が良いのではないか,
そう思うに至りました.
また,作品紹介をするときには特に,時間をかけて原稿を書いています.
時には2週間経っても書き終わらないこともあります.
このようなスタイルもまた,ブログには向いていません.
二川項にはブログは似合わないのです.少なくとも,今のコンセプトでは.
そして,僕が購読しているメールマガジンの一つに,
「天命の暗号*2」があります.
毎月/毎週,目標を教えてくれるメールマガジンです.
今週の目標は「即断」.
僕の思いに反して,このブログを楽しみにしていたとしたら,
それは大変申し訳なく思っています.ですが,お許しください.
本当はここでずばっと終わりにしたいのですが,
あと1回だけ,現在休止中の本家サイト「どっとこう」と私の
今後について話をさせてください.
本家をどうするかも決めていますが,発表まで少し時間が必要なのです.
*1:例えば,「好きな作品は語りにくい」ってこと. id:futagawakou:20070831
*2:id:futagawakou:20061126
おとぎ銃士 赤ずきん 〜魔女の忘れもの〜
「おとぎ銃士 赤ずきん」の小説版第2弾.
今回は前回*1と違って,良くも悪く(?)も
視座の不安定さは感じられない.
とはいえ,う〜ん.
登場人物が完全に二手に分かれる構成はちょっと….
なんとなく散漫で分断された印象を持ってしまう.
戦闘美少女とかいろいろあるんだろうけれど,
そしてこの本の前提を全て崩してしまうんだけど,
冒険なんかしなくて良いから.
鈴風家とか学校で,はちゃめちゃをしている方が
個人的には好きなんだけどなあ.
まあ,掛け値なしで好みの問題なんだけどね.
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*1:id:futagawakou:20061103
生き延びるためのラカン
語りが学術書っぽくない口語調だし,
引用の元ネタが書かれていない場合が多いんだけど,
さりげなく索引や著書リストを用意しているのはありがたい.
教科書・入門書としての使い勝手はなかなか.
ただ,ラカンの知識のない僕が,
内容の正確さについて論じたりするのは止めておく.そもそもできない.
それでもひじょ〜に参考になる点が多かった.
さて,この本の扉には,
「心の闇」を詮索するヒマがあったらラカンを読め!そうすれば世界の見方が変わってくる!
って書いてある.これは本当だなあ,と思ってしまった.
以下、どっとこう総見*1でのあれこれをばっさり斬ってもらいましょう.
Q.どうして「好きになった作品は語りにくい」*2のですか?
A.
一般的に、男性は自分の立ち位置をしっかり定めてからでないと、何事も享楽できない。*3
【二川項のコメント】
作品を語る前提としての,(「日常」の)自分の立ち位置を
説明するのは難しいよね,ってことなのか.
立ち位置が決まらないと,玉乗りしているみたいで,
どうも落ち着かない感覚になってしまう.
Q.『おおきく振りかぶって』*4についてなんかいろいろ書いてあったけど,
結局はどういうことだったんですか?
A.
報われない、トラウマ的環境にある主人公が、同じく報われない他者を自己犠牲によって救済することで、最終的に自分も報われる。象徴界を介して演じられる「救済」の反復が、それこそ反復によって色褪せてしまわないのは、僕たち(あるいは個人)が、いつでも自分のことを「努力が報われない不遇な主人公」としてイメージすることができるかもしれない。*5
【二川項のコメント】
最初からこれを引用すれば良かったと思うくらい*6.
なんか無茶苦茶恥ずかしい.
ついでに,主役級の2人について言及していたコメント.
あれも,結局2人に自分の感情が投影されています*7,
って告白してるようなもんだよね.
Q.録画したのに見ない言い訳として,「見るのが怖い」*8って書いてあったんですけど,
そんなことはあるのですか?
A.
鏡像に自己イメージを含めて投影し、同一化を試み、しかし同一化が進めば進むほど、自己の支配権、所有権を鏡像に奪われてしまうという不安や被害感も高まっていく.*9
【二川項のコメント】
「主人と奴隷の弁証法」の説明より.
参考にする登場人物が先に成功してしまうかと思うと,不安になるのは,事実.
話の最後で彼女ができるとイマイチ評価が高くならないというのは,
この変形バージョンだろう.
Q.「どっとこう総見」のアプローチについてどう思いますか?
A.
「自己」イメージに基づく「共感」なんて、あまりあてにならないんだ。それは他人の中に自分自身のイメージを発見するだけの、ナルシシックな営みなんだから。
【二川項のコメント】
「どっとこう総見」は,(いろいろ条件はあるけど)キャラクターを使って,
人生のトレーニングができないだろうか,ということを考えている.
自分一人で進めていくという点では,あのナルシスト*10の匂いがすると
言われているジムのトレーニングに似ているのかもしれない.
でも,「どっとこう総見」で一番気をつけたいと思っているのは,
参考にする登場人物を見て,満足してしまうこと.
そして,満足できないようにする,つまり
自分のモノにするためのトリガーになるのが
「参考にする他者」との「差異」ではないかと思う*11.
「どっとこう総見」自体,まだまとまっていないに等しい.
まだまだ考える余地はいろいろありそう.
…「どっとこう総見」を知らない人にはさっぱり分からないような
内容でごめんなさい.この本の魅力について,ひと言で言えば,再度引用するけど,
「心の闇」を詮索するヒマがあったらラカンを読め!そうすれば世界の見方が変わってくる!
ってことだと思う.
お勧め度:★★★★★
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*1:左の「カテゴリ別一覧」から「どっとこう総見」を選択すると,大体の傾向がわかる…はず
*2:id:futagawakou:20070818
*3:p162より引用
*4:id:futagawakou:20070830
*5:p105より引用
*6:さすがスポーツ心理学.(違うか?)あ,でも単行本の3巻の裏カバーに似た表記があるか.
*7:「2人に同一化しています」ではないことに注意.
*8:id:futagawakou:20061229
*9:p95より引用
*10:引用は省略するけど,本文にナルシシズムについての解説がある.
*11:本文中の表現で言えば,「父」「第三者」にあたるようなものではないだろうか.ちなみに,「どっとこう総見」では,同じ人間(登場人物)は一人として存在していない(ただし,オンラインゲームなどで自分の分身を自分で作った場合を除く),という発想を根底に持っている.
おおきく振りかぶって
この作品にはそもそも期待していなかった*1.
自分の今までの経験上,テーマである野球にあまり良いイメージを持てないでいた.
はっきり言ってしまえば,いい思い出がなかったからだ.
定点観測として,いろんな作品をウォッチして全体の傾向を掴む,
というプロジェクトの一環で見ただけのはずだった.
とはいうものの,不思議なことに,この作品は
なんと外部のあの手この手を使って「私を見て(読んで)!」って,
語りかけてきたのだ.
某友人はこの作品のために雑誌を買っているらしい.
秋葉原や有明*2の広告も見た.
仕事の絡みでチェックしていたブログでも
ウィークリーまぐまぐでも薦められていた.
いつも通っている整骨院にも置いてあった.
しかも,別の患者さんが良いと言っていたのを聞いた,など.
こんなに同時多発的に,
しかも他人に薦められれば見ない(読まない)わけにはいかない.
で,見たら…かなり良かったというわけだ*3.
僕の買った単行本の8巻の帯には「高校時代をやり直したくなる」って書いてあった.
この作品の持つ,比較的淡くて,自然なトーンも手伝ってか,
野球はおろか,運動部でもなかったのに,
どこか,昔を彷彿してしまうところがある.
抽象的でデフォルメされた「何でもできそうな昔」を.
そのまま気持ちいいノスタルジーの中に居てもいいんだけど,
どんなにもがいても高校時代をやり直すことはできない.
でも,この作品は,気づこうとした人には気づける,
意外にしたたかな仕掛けがなされている.
百枝監督だ.
彼女が何歳かは知らないけれど,少なくとも高校生ではないないだろう.
彼女は,ノスタルジーの中にはいない.
昼間は一生懸命に働いて,その金を部活に注ぎ込む.
間違いなく,彼女は「今」を生きている.
そして,改めてこの作品に自分の「今」を重ねてみると,
この作品はいろいろなことを教えてくれる.
アニメ版の1回目を見て思ったこと.
ついつい,やや独特な,主役の三橋君*4に目が行くかと思いきや,
そうではなく,阿部君への怒りだった.
「こいつにはいつか天罰が下るはず」.
だけど,読み進んでいくと,すぐにその反応は間違っていたことが分かった.
阿部君の反応も変わった.僕の考えも変わった.
自分が,はじめの阿部君と同じ反応をしようとしていたことに,
あるとき,ふと,気がついたのだ.
そして,こう対応された相手はいい気はしないだろうとも.
阿部君は,三橋君に尽くすことにした.
解決策は,敵対するのではなく,そういうことなんだろう.
と,書いたものの,この2人は,形こそ違うけれど,
互いに同じ問題を抱えていたのではないかと思う.
原作の言葉を借りれば,
ちゃんとこっちを向いてほしかったんだ*5
それでもなお彼らは野球をやり続けていた.
その根本にあるのは,前述の『ナチュラル』でも言っていた,これだろう.
野球が好きだ
このキャッチフレーズは,有明で見たポスターに書かれていたものだ.*6.
その時,急になんか恥ずかしくなってしまった.
それは結局のところ,彼らの主戦場を自分に置き換えて,
仕事が好きだ
と,堂々と,本気で胸を張って言えていないからなのではないかと思う.
正々堂々発言できる彼ら(作品)はすごい.
どんなにいじめられたり,ダメだと思っても,
ひたすら練習し続けられるというのも,
相手してもらえなくても続けたいと思うのも,
全精力をそこに注ぎ込めるのも,
好きだからこそできることだ.
この作品をひと言で言えば,6巻のカバー裏表紙*7に書いてあったけど,まさに
野球が、こんなにドキドキはらはらするこんなスポーツだったなんて!
ということに尽きると思う.
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*1:逆説的だけど,好評な作品は「そもそも期待していなかった」サプライズな作品が多い.
*2:りんかい線の国際展示場駅からビックサイトに行く途中には,TBS系のアニメ広告が掲示されているゾーンがある
*3:そして,好評な作品は,突然出てきたように見えるが,何かに引き寄せられるかのように,自分とその作品を結ぶ線が見えることが結構ある.それとも,線が見えたから好評になったのか.―どちらにしても,ちょっと神秘的な気がする.
*4:お恥ずかしながら,自分が三橋君に似ている部分があるのではないだろうかと考えることはある.全体的に似ているとは思わないけど,
*5:単行本3巻p93より引用
*6:夏に見たときにはこう書いてあった.春にも見たのだが,その時には「ぼくらの夏が始まる」だったような気がする
*7:この作品のカバー裏表紙をまじまじと見ると露骨なことが書いてあったりして結構恥ずかしい.ところで,最近発売されたの単行本にはカバーを外すと補足説明があるのだが,これがなかなか興味深い.必見.
■
夏の連休の記事では,いろいろ書いた.
『史上最強の弟子ケンイチ*1』,『OVER DRIVE*2』,
(その中で引用した『アイシールド21』)ときて,
なぜか『ナチュラル*3』.
そこで,そう来たら,それじゃないだろ!これだろ!*4と
思わず突っ込みたくなった方がいるかしれない.
というわけで,「これ」についてコメントを.
*1:id:futagawakou:20070815#p2
*2:id:futagawakou:20070816#p2
*3:id:futagawakou:20070817
*4:今回の作品も含め,どの作品も高校1年生が入学するようなところから始まる,学業ではないアクティビティがテーマの作品だ.いわゆる「部活モノ」(id:futagawakou:20070818).それぞれの部活(部があるもの)が設立間もなく,先輩が少ないのも共通点.主人公の傾向(ポジション)もなんとなく似ている
実験心理学が教える 人を動かすテクノロジ
ゲームから何かを得ようとする場合の一番の問題点は,
間違いなく時間がかかることだ.
比較的短い24時間でクリアできるRPGをプレイする間に,
3時間のやや長めの映画を8本も見ることができる.
だから,どっとこうでは,昨日*1も書いたとおり,
1回の視聴時間が比較的短くて済むアニメ作品を取り上げている.
それで,あれこれ示唆を得ることは,結構ある.
例えば,アニメ作品に限らず,最近読んだ本でも
(つまり複数の情報源で),こぞって早起きを推奨している*2.
でも,早起きできないのだ.
と,前置きが長くなってしまったが,この本は,例えば,
この試みがなぜうまく行かないのか,について語ってくれている.
いや,僕が,ゲームとプレイヤーの関係に注目して書いている,
「どっとこう総見」が無意味になるくらい,優れたことが書かれている.
僕にとってはまさに教科書のような本.
脚注のURLが現存しているかどうかチェックしているのは
非常に親切で良いのだけれど,
文献で日本語訳があるものは,日本語訳を紹介してくれれば
もっと良かったと思う.
日本語訳の問題はいろいろあるかもしれないにしても.
ちょっと話は戻って,冒頭の話の答え.
ビデオテープでは行動をリハーサルすることができないので、実生活でその行動を実行できるかどうか自信が持てないようである。つまり、対話的な体験が受動的な体験よりも自己効力感を高めるのだ。*3
なぜ,他のメディアではなく,ゲームに惹かれたのか.
「どっとこう総見」のそもそも論を思い出す1文だ.
ところで,左のグラフは体重と体脂肪率を表している.
お分かりのとおり,僕にはダイエットが必要だ.
そんなことを思いながら読んでいて,気になった例があった.
その名も「バーチャル軍曹」.
まあ,対話型ビリーズブートキャンプといったところだろうか.
ビリーズブートキャンプ自体,軍隊式とか,
背景で運動している人がいるとか,ある程度の想定ではあるけれど,
ビリーさんが声をかけてくれるとか,5000円キャッシュバックするとか,
ダイエットに挫折しないようにあれこれ工夫されているのがわかる.
これらの工夫は,本文に「人を動かす」要素として書かれているものだ.
その意味で,ビリーズブートキャンプ*4でダイエットに
成功した人がどのくらい出るのかというのには非常に興味がある.
僕はというと,もし,これで日本国民がげっそり痩せた暁には
ぜひ,やってみたいと思う.*5.
DVDを見てダイエットに成功するにしても,
ゲームから何か学ぶにしても,何かに影響されていることになる.
ということは,悪い影響を受けてしまうことも十分に考えられる.
そもそも,何かに影響されること自体,問題があるのかもしれない.
今後の世界のリテラシーとして,「どっとこう総見」に興味がない方も
この本を読むことをぜひお勧めします.
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*1:id:futagawakou:20070818
*2:この例はあまり良くない.この問題の場合,たぶんゲームで早起きを推奨されても上手く起きられないだろう.なぜなら,日常生活を送るために一定の睡眠時間が必要なことを考慮すれば,早寝をしないといけないからだ.早起きというよりも早寝をする工夫が必要なのかもしれない.そこを説得する方法はなにかあるはず(今はなくても,きっと出てくるはずだ)だが,それは知らない.(だから起きられない)
*3:p110より引用
*4:厳密には,この本で取り上げられているテクノロジは使われていないだろう.だが,無関係でもないだろう.
*5:こういう考え方(社交的学習の原理,p260)についても,この本では触れられている