どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

実験心理学が教える 人を動かすテクノロジ

ゲームから何かを得ようとする場合の一番の問題点は,
間違いなく時間がかかることだ.
比較的短い24時間でクリアできるRPGをプレイする間に,
3時間のやや長めの映画を8本も見ることができる.


だから,どっとこうでは,昨日*1も書いたとおり,
1回の視聴時間が比較的短くて済むアニメ作品を取り上げている.
それで,あれこれ示唆を得ることは,結構ある.


例えば,アニメ作品に限らず,最近読んだ本でも
(つまり複数の情報源で),こぞって早起きを推奨している*2
でも,早起きできないのだ.


と,前置きが長くなってしまったが,この本は,例えば,
この試みがなぜうまく行かないのか,について語ってくれている.
いや,僕が,ゲームとプレイヤーの関係に注目して書いている,
「どっとこう総見」が無意味になるくらい,優れたことが書かれている.
僕にとってはまさに教科書のような本.


脚注のURLが現存しているかどうかチェックしているのは
非常に親切で良いのだけれど,
文献で日本語訳があるものは,日本語訳を紹介してくれれば
もっと良かったと思う.
日本語訳の問題はいろいろあるかもしれないにしても.


ちょっと話は戻って,冒頭の話の答え.

ビデオテープでは行動をリハーサルすることができないので、実生活でその行動を実行できるかどうか自信が持てないようである。つまり、対話的な体験が受動的な体験よりも自己効力感を高めるのだ。*3

なぜ,他のメディアではなく,ゲームに惹かれたのか.
「どっとこう総見」のそもそも論を思い出す1文だ.


ところで,左のグラフは体重と体脂肪率を表している.
お分かりのとおり,僕にはダイエットが必要だ.
そんなことを思いながら読んでいて,気になった例があった.
その名も「バーチャル軍曹」.


まあ,対話型ビリーズブートキャンプといったところだろうか.
ビリーズブートキャンプ自体,軍隊式とか,
背景で運動している人がいるとか,ある程度の想定ではあるけれど,
ビリーさんが声をかけてくれるとか,5000円キャッシュバックするとか,
ダイエットに挫折しないようにあれこれ工夫されているのがわかる.
これらの工夫は,本文に「人を動かす」要素として書かれているものだ.


その意味で,ビリーズブートキャンプ*4でダイエットに
成功した人がどのくらい出るのかというのには非常に興味がある.
僕はというと,もし,これで日本国民がげっそり痩せた暁には
ぜひ,やってみたいと思う.*5


DVDを見てダイエットに成功するにしても,
ゲームから何か学ぶにしても,何かに影響されていることになる.
ということは,悪い影響を受けてしまうことも十分に考えられる.
そもそも,何かに影響されること自体,問題があるのかもしれない.


今後の世界のリテラシーとして,「どっとこう総見」に興味がない方も
この本を読むことをぜひお勧めします.


お勧め度:★★★★★


実験心理学が教える人を動かすテクノロジ

実験心理学が教える人を動かすテクノロジ

*1:id:futagawakou:20070818

*2:この例はあまり良くない.この問題の場合,たぶんゲームで早起きを推奨されても上手く起きられないだろう.なぜなら,日常生活を送るために一定の睡眠時間が必要なことを考慮すれば,早寝をしないといけないからだ.早起きというよりも早寝をする工夫が必要なのかもしれない.そこを説得する方法はなにかあるはず(今はなくても,きっと出てくるはずだ)だが,それは知らない.(だから起きられない)

*3:p110より引用

*4:厳密には,この本で取り上げられているテクノロジは使われていないだろう.だが,無関係でもないだろう.

*5:こういう考え方(社交的学習の原理,p260)についても,この本では触れられている

好きになった作品は語りにくい

ここでは,いろいろな作品について語ることを多くしているが,
好きな作品であればあるほど,語りにくい作品もある*1


働いている会社のある営業の方が言っていた.
営業は歴史小説を好む人が多いのだ,と.
それは営業が歴史小説の舞台と似ているからだという.


僕は営業ではないけれど,
何となく分かるような気がする.


僕はこのネットでいろいろ書き始めたときから,
ゲーム,とりわけRPGについて語っていたから,
取り上げる話はファンタジー系が中心だった.


だけど,最近はそうではないような気がしている.
もちろん,ゲームに取り組む時間が少なくなっていて,
その代わりに隣のジャンルであるアニメ作品を中心に
取り上げているのだけど,それでも,ファンタジー系の
魅力は色褪せてきているような気がする.


その代わりに台頭しているのが,いわゆる「部活モノ」だ.
本当にこの手の作品に弱くなった*2ような気がしている.


とはいうものの,「部活モノ」なら何でも良いかというと,そうでもない.
営業の舞台が歴史小説と似ているというのと同じレベルで,
自分と同種の問題(とその解決)が描かれているから,好きなのだ.
今,自分の抱えている問題のいくつかが,
たまたま「部活モノ」によって描かれているだけのことだ.


「部活モノ」であろうが,「ファンタジー」であろうが,
自分の問題が描かれている場合,その作品を好きだ,
より正確な言葉を使えば,参考になるということになるのだろうけれど
その問題を抱えている,と告白しているのと同義になる.


別に個人情報を隠したいからではなく,
その問題を抱えているということを告白するのは,
なんか自分の中を覗かれるみたいで,恥ずかしいのだ.


しかも,自分に触れるためには,自分とその作品だけではなく,
出会うタイミングも重要になってくる.
一生同じ問題を抱えているわけではないから.


恥ずかしいだけなら良いのだが,
私の個人的な事情で善し悪しを語ることになるから,
読んでいるオーディエンスの参考になるとは思えない.
役に立たないものを公開してしまっているのではないだろうか,
そういう気がしてならないのだ.


ちなみに,今,会社員なのであれば,「会社モノ」の方が
受けるような気がすると思うかもしれない.
だけど,それはちょっと違う.


会社員の僕にとって見れば,
「会社モノ」は確かに,同じ「会社」をモチーフにしているので,
その点ではより具体的なのだけど,だからこそ,
あまりに具体的すぎて自分に適応できない可能性が非常に高いのだ.


その意味においては,「歴史小説」や「部活モノ」は,
総論賛成レベルでしか参考にしかならないかもしれないけれど,
そこから考えて何か示唆を得ることは十分できる.


作者が考えている,この世界はどうあるべきか,は別にして,
その作品から,人生のヒントを受け取れたとき,
その作品には心から感謝したい.


今まで語った中には,評論家のようにコメントした作品もある.
そういう作品は,残念ながら,自分に触れることの無かった作品だ.
たとえ,歴史上に名を残す作品であっても,
僕の心の中に残ることは,おそらくないだろう.


その作品を語っているのだけど,実は,自分自身を語っている.
だけど,評論家でコメントしている作品より,
語りたい作品であることもまた,間違いない.

*1:もちろん,このぶろぐ上での「かいけつゾロリ」のように,語りにくくない作品もある.まあ,会社では語りにくいんだけど.

*2:好きになった,ということ

ナチュラル

実はこれも溜め込んでましたシリーズ.
なんと,去年の冬に,プラネテスの単行本を貸した代わりに
会社の上司から借りたDVD.


そんな事情はさておきとして,この映画の感想を.
と言いたいんだけど,その前にちょっと釈明を.


このDVDには本編の他に,映像特典として,
メイキング・ドキュメンタリーが収録されている.
この映像が非常に秀逸.というよりも,
ドキュメンタリーを見る前と後で感想を大きく変わってしまった.
自分の浅はかな見方を大いに反省した.以下,見た後での感想.


平たく言えば,才能ある野球選手が途中で事件に巻き込まれてしまい,
35,6でやっとデビューし,奇跡の「復活*1」を成し遂げる話.
話は読めるが,そんなことをしても,
多くの話がそうであるように,ほとんど意味がないだろう.
そこに至る主人公のロイの軌跡を追うことこそ,この話の楽しみだ.


実写にしては,ややわざとらしい気がした*2
さらに,単純でベタな印象さえ受ける.残念ながら,二項対立的な関係もある.


二項対立を持ってくると,多くの場合,相手の悪がより引き立つのだが,
この作品は少し違った.確かに,悪は引き立っていないわけではないのだが,
それでもなお,ロイの行動に感動してしまった.
差し引いても,余りあるものがある.


できれば,ドキュメンタリーなしでぐいぐい引き込んでほしかった.
まあ,先人の知恵はそれ自体に価値があり,
僕はまだまだなのだから,仕方がないのかもしれない.


正直,半年も寝かしていたくらいだから,
あまり期待していなかったのだけれど,意外にアタリだった.


お勧め度:★★★☆☆+★
※単品で★3つ,ドキュメンタリーとセットで★4つ.

*1:「デビュー」という言葉の方が正確かもしれない

*2:監督も認めている

OVER DRIVE

思わず自転車版『アイシールド21』かと思ってしまった,
高校生ロードレースの話.


大谷さん*1,『デルドラクエスト*2』と掛け持ちするのはさておきとしても,
アイシールド21』と『OVER DRIVE』を掛け持ちしちゃいけないでしょ.
全部見てるんだから.イメージがかぶるかぶる.


そうやってみると,第1回でパシリにされるシーンとか,
主人公の立ち位置,メンバーの構成まで似ているように見えて困る.
まあ,一般的な話のセオリーとして似てしまうのは致し方ないとしても,
ちょっとは意識していただきたかった.
それともわざとなのだろうか???


でも,見ちゃうんだけどね.


お勧め度:★★★☆☆
※2007年8月15日現在

*1:作曲者.本文にもあるとおり,この作品以外にも『デルドラクエスト』や『アイシールド21』なども手がけている.『OVER DRIVE』の音楽は,『デルドラクエスト』と『アイシールド21』を足して2で割ったような印象を強く受ける.

*2:個人的には,古き良き時代のファンタジー作品のような気がする.お勧め度:★★★☆☆

のだめカンタービレ

僕は,高校では吹奏楽部だった.そして,中学では管弦楽部だった.
この番組を見て中学の頃を具体的に思い出す,ということはないが,
それでも幾分親しみやすい世界だ.


それが同じ女性にヒットした『NANA*1』や
ハチミツとクローバー』は見向きもしなかったのに,
この『のだめカンタービレ』を録画して見ていた理由のひとつかもしれない.
だけど,それはあくまで理由のひとつに過ぎない.


たぶん,この作品の本当の魅力は「のだめ」本人のあの生き方なのだろう.
同じ生き方をしたいとは思わないし,できないんだけど,
だからこそどこかに憧れがあるのだろう.


恋愛ももちろん,プロフェッショナルの生き方としても参考にしていた.
アニメ版では最後に外国に行くことが決まるところで終わるんだけど,
そうすることがやはり少なくとも音楽ではそうする方が良いのだろうか.


日本でまだやれることがあるはず,というセリフがあっただけに,
自分の人生について考えさせられる.


先行して見ていた『史上最強の弟子ケンイチ*2』のケンイチ君と美宇さんを
どこか連想してしまうのが若干難だったけど*3


お勧め度:★★★★☆

*1:確かに音楽の話だが,毛色が違う

*2:id:futagawakou:20070815#p2

*3:声だったり,キャラクターだったり.

スキップ

昨日*1と同じく演劇集団キャラメルボックスのTV放送より.
人気投票で1位になった作品らしい.
他の作品を見ていないから,なぜ1位になったのかは
正直分からないけれど,1位に値するのはわかる.


昨日の「サンタクロースが歌ってくれた」と違い,
最後がすごく上手くまとまる,ということは残念ながらない.
だからこそ,心に残るモノがあった.


話としてはもややわかりにくいのではないかと思う.
まとまらないから,自分で考えないといけない.
そこの過程にこそ魅力があるような気がする.
その例というか,ヒントはとても秀逸だ.
今日という日をどう過ごしていくのかについて.


お勧め度:★★★★☆

*1:id:futagawakou:20070814#p2

史上最強の弟子ケンイチ

さらに,そこをテーマとして持ってきた作品もある.
史上最強の弟子ケンイチ』だ*1


最初は,個人的な嗜好をつかれまれながらも,
なんか変な作品だと思っていたのだが,
彼の名前の漢字が「兼」一であると分かったときに,
この作品の「信念」がわかったような気がした.


ケンイチ君の家にある大量の本とか,
敵に対する対処のあり方とか*2
見ていてなかなか興味深い.


お勧め度:★★★★☆
※2007年8月15日現在

*1:もちろん,格闘技もスポーツなんだけど

*2:まあ,そもそも陰陽のマークからしてそういう意味なのだから,今さら不思議がることはないのかもしれないけれど