どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

【時事】イラク国民の命よりも大切なもの

戦争が始まり,戦争が終わった.この戦争に対しての意見はいろいろあるが,おそらく共通していることは,イラク国民の命についてはかなり考えられていた,ということだろう.と同時にイラク国民の命よりも大きな大義名分の話が多かったということだろう.

一番重要なこと,大義名分はなんだったのだろう.イラクはこれから民主化する.そのために戦争が起こせば,おのずとイラク国民が死んでしまうのは避けられないだろうし,実際に死んでいる.現状を見てもイラク国民が幸せなのかどうかはわからない.ただ,ホワイトハウスがしきりに主張していた,大量破壊兵器が出ていないのは気になるところである.

では,戦争反対を訴えていた人はどうだろう.イラク国民が幸せに暮していたとしたら,間違いなく戦争を反対することで,イラク国民の命を守ることができる.戦争が始まったその時にアメリカが去ってもフセイン大統領による統治は続いている.これが良いというのなら,戦争を反対すべきだろう.しかし,フセイン大統領は隠れてしまった.そしてイラクにはイラク国民と経済制裁が残されてしまったことをみると,フセイン大統領がイラク国民の事を考えていたのかは謎である.

戦争を反対して得られるものはなんだろう.平和である.平和が大切なのである.ここでいう平和とは,戦争による死者がなくなるという意味である.そのことが重要なのだ.何事も武力による解決がいけないのだ.

その証拠にフセインに対するデモが少ないことが挙げられる.デモをしているのは攻撃賛成派の人たちだけだ.反対の人はせっかく国連による平和的な解決が阻害されたことに苛立ちを覚えているのであって,フセインの善悪を問題にしているのではないのだ(フセインは名目上はまだ灰色.ただし,国連が介入しているということは悪いかもしれないということだ).だから,たとえフセイン政権下でイラク国民がひとりでも多く殺されていよう(私は実際に殺されているかどうかはわからない)が,国際社会として平和裏に解決することのほうが重要なのだ.

どちらの大義名分が正しかったのだろうか.どちらもイラク国民の命が最優先ではないという点では同じなのである.まさにその国の国益が優先された結果だといわざるを得ない.当のイラク国民は実際この戦争をどう見ていたのだろうか.それは数多くのイラク国民に聞いてみないとわからない.だが,実はどちらも正しくてどちらも間違っているのかもしれない,と私は見ている.ブッシュはノー,フセインにもノー.