どっとこうMOTTO

電子書籍『After』(全2巻),BookLive!(http://booklive.jp/product/index/title_id/116980/vol_no/001),紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0012917)などで好評発売中。

大企業か中小企業か?重視したいのは…

この前,知り合いが就職活動で大企業がいいか中小企業がいいか悩んでいた。ある人は大企業は厳しくブラックなところもあるし,個性を発揮しにくい部分があると回答していた。それは多分間違っていないと思う。

ブラックだとして指摘されているのは確かにいわゆる大企業が多い。だからといって,そうでない会社がブラックかどうかは分からない。そんなことを言ってしまったらそもそもこの議論は意味が無いんだけれど,企業の規模に関係なく,カテゴリーで見るのではなく,その会社と向かい合って見れば自ずと答えは出てくるはず。

この後の話は今までの話を踏まえて読んでほしいんだけど,どちらが良いかどうかは人によると思う。個性の発揮がしやすいのは一般的に中小企業なんだけれども,その反面教育制度が整っているのは大企業だったりする。大企業には育ててもらえる環境があるし,中小企業はいきなり最前線に立てる可能性がある。このあたりは分野や自分の価値観に従えばいいと思う。

最近,新国立競技場建設に携わっている若者が過労自殺してしまったというブラックなニュースが報道された。時間外200時間を把握せずという状況の末のよう。この一連のニュースで気になった報道があった。

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採用活動が難航し,2016年度の新入社員がこの若者たったひとりだったのだという。このどこが気になったかというと,同期がいなかったという事実である。

この記事の中にも「相談や愚痴をこぼす相手がいなかったとすれば、本当にかわいそうなことをした」という会社の担当者の言葉が紹介されていた。いくら働き方改革が進もうが,ブラック企業を撲滅させたとしても,入社後に辛いことに出くわすのはほぼ間違いない。その時に会社で一番頼りになるのは同期なのだと思う。

僕が勤めている会社では今では数人をコンスタントに採用している。僕が就職したのは就職氷河期の頃で,残念がら同期がおらず,部署でも身近に相談できる人がいなかった*1。その半面,後輩や先輩たちには同期がいる。本当に羨ましい。哀れんでほしいわけではないけれど,そのことを僻んでみてもわかってもらえない。心が追い詰められ,あと一歩でダメになってしまうのではないかと思った瞬間は何回かあった。持っている人はその大切さが分からないのだろう。

タイトルの…はもうお分かりだろう。重視したいのは会社の規模ではない。同期の有無である。仮に会社を辞めて同期がいなくなったとしても,それまでに人間関係ができていれば緩くつながっていられる。ちょっと引いた視点で相談に乗ってもらえるようになるかもしれない。

それなら大企業が有利と思うかもしれないけれど,必ずしもそうではない。中小企業は一般的に同時に複数人を新たに雇うほど人が多くないけれど,それは他の人も同じなので,そもそも同期へのこだわりが薄い。だからあまり気にする必要はない。一番残念なのはそれなりの規模の会社なのに同期がいない場合。そういう会社はオススメしない。もっとも,新卒一括採用が終わったら同期という概念がなくなるだろうけれど。同期って言うよりも相談に乗れる相手がいるかどうかか。

最後に。僕が耐えられたのは,外の世界に触れたからというのが大きい。たまたまではあるものの,別の会社で働くという経験ができたので,今の会社だけが全てではないと思えることができた。これはレアケースだと思うけれど,会社の外のコミュニティ(もちろん趣味の世界のものでも)に参加をするという方法もある。直接的に相談できないかもしれないけれど,会社の枠を超えた新たな視点を得られるというメリットもある。会社が辛いときほど会社に目が行きがちだけれど,そうでない世界があることは覚えておきたい。

*1:と思い込んでいただけだったのかもしれないが